配当所得の申告不要制度

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


配当所得のカギは申告不要制度

確定申告に先立つ還付申告が1/1から始まっている。サラリーマン等が還付申告により、所得税の還付を受けるパターンはいくつかあるが、今回はそのうち配当金をもらった場合を取り上げてみようと思う。

配当金をもらう場合は税金が源泉徴収され、配当金から差し引かれて入金になる。上場株式や一定の公募証券投資信託等については所得税7%住民税3%(ただし、平成21年4月以降は所得税15%住民税5%になる予定)、非上場株式等については所得税20%が源泉徴収される。源泉徴収された税金は、最終的には確定申告で精算することになる。

ただし、配当所得には申告不要制度というものがある。対象となるのは以下のものである。

(1)上場株式等の配当金や一定の公募証券投資信託の期中分配金等(持株割合が5%未満の場合に限る)

(2)非上場株式等の原則1銘柄年間10万円以下の配当金

上記の配当所得については確定申告が不要であるため、源泉徴収された時点で課税関係を終了させることもできる。しかし必ずしも申告不要制度を選択するほうが有利であるとは限らない。確定申告すれば、配当控除の適用を受けられる場合があり、なおかつ今回に限ってはまだ定率減税の適用も受けられるのだ。具体的に言うと、確定申告した場合の自分の所得に対する税率が、配当金に対する源泉徴収税率を下回るのであれば、配当所得を含めて確定申告した方が有利ということになる。

還付申告の際の落とし穴

還付申告をする際に気を付けておきたいのが、配偶者控除や扶養控除との関係である。例えば、パート収入が100万円で夫の配偶者控除の対象となっている妻のケースを考えてみよう。この妻が年間50万円の配当金(上場株式等)を受け取ったとする。

申告不要制度を利用し、確定申告しない場合には、その配当所得についてはなかったものとされるため、パート収入が100万円であれば所得は100万円-65万円=35万円となり、所得が38万円以下であるため、これまで通り配偶者控除の対象となる。

一方、確定申告して還付を受ける方を選んだ場合、妻の所得は給与所得35万円+配当所得50万円=85万円となる。この場合の所得税計算は以下のようになり、配当金から差し引かれた所得税3万5千円(=50万円×7%)が全額還付される。

85万円-38万円(基礎控除額)=47万円
47万円×10%=4万7千円
4万7千円-4万7千円=0
(∵ 4万7千円<50万円×10%=5万円(配当控除))

しかし、確定申告することによって、妻自身の所得は85万円となってしまい、配偶者控除や配偶者特別控除の対象から外れてしまうのだ。その分、夫の方で税金を取られることになってしまう。有利判定の際には、その影響も考えた上で、慎重に判断して頂きたい。

また、上記の(2)については申告不要制度があるのは所得税のみであるため、所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の確定申告は必要となる。というのも非上場株式等の配当金に対する税金は所得税20%のみであり、住民税は源泉徴収されていないためである。申告不要制度を適用される際には、この点にも注意して頂きたい。

税務ニュース№10




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