2009年上場株式等に係る譲渡損失を節税に活用

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


株価急落

去年の秋以降、日本の株式市場は軒並み値下がり傾向にある。そのため投資家の中には、これ以上の損を拡大させないため、平成20年中に見切り売りされた方もいるだろう。

そこで、今回は確定申告において上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の申告をする場合の注意点についてお知らせする。

確定申告には何が必要?

源泉徴収ありの特定口座で株式等を譲渡した場合には、その譲渡損益に対し10%(所得税7%・住民税3%)が源泉徴収されているため、その株式等に係る譲渡損益については確定申告をしなくてもよいこととされている。

しかしながら、他の証券会社等で発生した売却損と損益通算するため、又は譲渡損を繰り越すために、あえて確定申告をすることにより所得税の節税を図ることができるのだ。

とはいっても、税務の専門家でもない限り確定申告書を作成するという行為は一般の納税者にとってはハードルが高いことだろう。そこで、少しでもわかり易いように準備書類と作成書類をまとめてみる。なお、一般的なケースを想定しているため、年末調整済みのサラリーマンで源泉徴収ありの特定口座を選択しているケースで説明する。

<準備書類>
・給与所得の源泉徴収票
・証券会社等から送付された年間取引報告書

<作成書類>
・所得税確定申告書B 第一表・二表・三表(分離課税用)
・株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書

書く順序を間違えない

それでは、簡単だが書き方の順序を説明する。

まず、証券会社等から送付された年間取引報告書を見ながら、「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」を記入し、第三表の収入金額及び所得金額まで記入する。次に、給与所得の源泉徴収票を見ながら申告書第二表、第一表の所得から差し引かれる金額まで順に記入する。その次に、また第三表に戻り税金の計算をするのだが、ここで使う税率が給料と譲渡では異なるので注意していただきたい。そして最後に第一表に戻り、税金の計算から記入していく。

やはり簡単にはできないと思う場合には、国税庁HPにある「確定申告書作成コーナー」で作成されることとをお勧めする。ここで作成し、印刷してものを税務署に提出するか、作成したものをそのまま電子申告することも可能である(e-Taxには一定の環境が必要)。

上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除を行う場合の注意点

この制度は、3年間損失を繰り越しすることができる制度である。例えば、平成19年分が赤字、平成20年分が黒字の場合に、平成19年分の赤字を繰り越す申告をすることにより、平成20年分の黒字からその赤字を差し引いて税金の計算をしてくれる。従って、連続して3年間は確定申告書を提出する必要がある。

また、源泉徴収ありの特定口座における所得については、扶養を判定する場合の合計所得金額には算入されないので、申告しない限り所得はゼロということになる。しかし、確定申告をすることにより税務署側に合計所得金額が確定されてしまう。例えば、専業主婦の妻が上場株式等の譲渡損益を申告する場合、年間所得が38万円以下であれば夫の配偶者控除が受けられるが、これは損益通算前の所得で判定することになるので注意していただきたい。

税務ニュース№113


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