他人事ではない!未払い残業代の税務上の取扱い

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


他人事ではない!未払い残業問題

名ばかり管理職の未払い残業問題がクローズアップされたことは記憶に新しい。報道で明らかにされた会社は大手企業だったが、この件については中小企業こそ真摯に受け止めなければいけない問題である。

それは、中小企業のほうが大手企業より「今までの慣習で残業代込みの支払いをしている」、「サービス残業の範囲内と認識しており、残業代を支払っていない」などアバウトなところもあるのではないだろうか。もし中小企業が未払い残業代を請求された場合、通常大手企業のように資金が潤沢でなく、借入して支払ったはいいがその後倒産という事態にもなりかねない。

そこで、未払い残業代が発生した場合の税務上の取扱いについて知っておいてもらいたい。

もらった側

 税務上、給与所得の収入を認識すべき時期は、契約又は慣習その他株主総会の決議等により支給日が定められている給与等についてはその支給日、その日が定められていないものについてはその支給を受けた日と決められている。

従って会社から過去の未払い残業代を受け取った場合には、本来の支給日の属する年分の給与所得となる。例えば、未払い残業代が平成18年分で10万円、平成19年分で10万円あり、平成20年12月に一括して受け取ったとする。この場合、それぞれの年の所得となり、年末調整のやり直し、確定申告をしている人なら修正申告をする必要が生じる。

一方、平成18年分と平成19年分の合計20万円を過去の残業代の精算として賞与等として平成20年12月に受け取った場合には、こちらは平成20年分の所得となる。

支払った側

会社が従業員に対し未払い残業代を支払った場合、会社はその支払った事業年度の費用とすることになる。先程の例をとると、平成18年分及び平成19年分を平成20年度に支払った場合には、平成20年度に全額一括費用となる。

過去の所得が増えるといろいろ変わること

過去の未払い残業代が支給されること事態は、従業員にとって歓迎されることだろう。しかし、所得が増えることにより税金が増えることを忘れてはいけない。

では、所得が増えることにより変更になる可能性があることを挙げてみよう。

・所得税が増える、住民税が増える
・社会保険料が増える
・認可保育園の保育料が上がる
・扶養から外れる可能性がある(税金・社会保険)
・扶養から外れた場合には、扶養してくれた人も修正が必要となる など

未払い残業代はお金だけの問題ではない

未払い残業代問題が発生してしまうと、会社内で経営側と従業員側にわだかまりが生じることがある。また、それが原因のコミュニケーション不足によるミスなどを考えると、やはり残業代はもらう側が気持ちよくもらえる環境で支払うのが最善の方法である。

税務ニュース№115


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