小規模企業共済、中小企業倒産防止共済の見直しを経産省が検討

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


小規模企業共済の加入対象者拡大を検討

経済産業省は、中小企業の倒産が増加している現状を考慮して、小規模企業共済と中小企業倒産防止共済の見直しを目指しているようだ。6月までに、改正の方向性について取りまとめることが予定されている。

小規模企業共済は、一定の要件を満たす個人事業主や中小企業の役員が加入できる退職金制度である。掛金は月額1,000円~70,000円の範囲内で自由に決められ、支払った金額は全額、「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になるので、支払時には節税になる。最終的に、本人が廃業したり、退職したりしたときには、退職金や年金として共済金を受け取ることができる。

退職一時金として受け取った場合には、その共済金は退職所得として扱われるため、その一時金が勤続年数等から計算した退職所得控除額を超えた部分の1/2が分離課税されるので、税法上も非常に有利である。年金として受け取る場合には、公的年金等の雑所得として課税される。また、支払った掛金合計額の範囲内で、事業資金等の貸付を受けることもできる。

小規模企業共済について見直しが検討されているのは、加入できる対象者の範囲についてである。現状では、一定の要件をクリアした個人事業主又は法人役員に限られている。この加入者の範囲に、後継者や共同経営者等を加えることが検討されているようである。事業承継については、経営承継円滑化法により大幅な制度拡充が見込まれているが、小規模企業共済についても、その一角を担うようになるかもしれない。

倒産防止共済は、倒産事由と貸付限度額の見直し

もう1つの見直し対象になっているのが、中小企業倒産防止共済である。一定の要件を満たす個人事業主や中小企業が毎月掛金を支払うことにより、取引先の倒産等が発生した場合に、共済金の貸付が受けられる制度である。掛金は毎月5,000円から80,000円の範囲内で自由に選択し、掛金総額が320万円になるまで掛け続ける。支払った掛金は全額経費になり、取引先の倒産等が発生した場合には、掛金総額の10倍(最高3,200万円)までの範囲内で貸付を受けることができる(貸付は無担保・無保証)。あくまで助成金ではなく貸付なので、当然返済義務はあるが、非常事態に資金調達するための手段としては有効である。

ただし、現行の中小企業倒産防止共済では、破産手続開始や再生手続開始等の法的整理の場合にしか貸付が受けられず、私的整理の場合には、貸付が受けられない。倒産企業数が増加している現状を踏まえて、貸付事由の範囲に私的整理を含め、かつ最高3,200万円の貸付限度額を4,000万円程度まで引き上げる案が検討されているようである。現段階では、決定事項ではなく、検討事項に過ぎないが、今後の議論の行方を注視する必要があるだろう。

税務ニュース№118


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