社員を採用した場合にかかる費用と税務のポイント その2

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


前回「社員を採用した場合にかかる費用と税務のポイント その1」

社員が入社した場合に必要な費用

前回は、「通勤交通費」と「制服」についてお送りした。今回はその2として「食事」、「社宅」と「レクリエーション」について税務のポイントをお送りする。

食事を支給する場合のポイント

工場などの製造業では、給食を支給している会社も少なくない。また、近くに飲食店やコンビニ等がない地域においては、会社で仕出し弁当を取って支給していることもあろう。

さて、この食事代について次の2つの要件をどちらともクリアしていれば、使用人に給与として課税しなくてもよいことになっている。

(1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること

(2)(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)が1ヶ月当たり3,500円(税抜き)以下であること

ここで食事の価額とは、仕出し弁当などを取り寄せて支給している場合には業者に支払う金額をいい、社員食堂で会社が作った食事を支給している場合には、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額のことをいう。

例えば会社が350円の仕出し弁当を月20回使用人に支給する場合、@350円×20回=7,000円となり本人負担1/2で3,500円を徴収していれば、上記2つの要件をクリアしていることから使用人に対し給与課税しなくてよい。つまり、会社負担額が月3,500円以下で使用人が50%以上負担していればよいのだ。

ところで、残業や宿日直を行う場合(通常の勤務時間外にかかる場合に限る)に支給する食事については、現金支給でない限り福利厚生費として処理することができる。当然ながら、社会通念上常識の範囲内ということは言うまでもない。

社宅を提供する場合のポイント

会社名義で賃貸マンション等を借りて使用人にまた貸しする場合、会社はいくら使用人から徴収すれば給与として課税しなくてよいか?それは、次の3つの合計金額を基準としてその50%以上を使用人から徴収していれば給与として課税しなくてよいことになっている。

(1)家屋の固定資産税の課税標準額×0.2%
(2)12円×家屋の床面積(㎡)/3.3㎡
(3)敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

しかしながら、実務上は家賃の50%以上を使用人から徴収するケースが多い。

レクリエーションを行う場合のポイント

4月は新入社員との懇親会を兼ねて会社全体で夜桜見物ということもあろう。この場合に会社から提供する飲食物については福利厚生費として処理できる。その後、有志のみでカラオケ店などで2次会を行う場合に、その費用を会社が負担したときは福利厚生費とはならず、接待交際費となってしまうので注意が必要だ。

また、使用人のレクリエーションの一環として社内旅行を行う場合にも、実務上は次の3つの要件をクリアできるものであるときは、原則として使用人の給与とはしないで福利厚生費とすることができる。

(1)旅行期間が4泊5日以内であること(海外旅行の場合は外国での滞在日数が4泊5日以内であること)

(2)旅行に参加した人数が全体の人数の半数以上であること

(3)使用人1人当たりの会社負担額が10万円以下であること

ただし、たとえ要件をクリアしていてもプライベ-ト旅行(同族会社の場合)と判断されるものについては福利厚生費とはならず、交際費や給与課税となってしまう。また、社員旅行の不参加者に旅行代金相当額の現金を支給した場合には、その不参加者に対し給与として課税するだけでなく、その社内旅行の参加者に対しても旅行代金を給与として課税しなければならない場合があるので注意されたい。

税務ニュース№122


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