グループ法人税制、来年度税制改正で導入?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


グループ法人税制、「論点とりまとめ」公表

先日の総選挙は民主党の圧勝に終わり、いよいよ民主党政権の誕生となった。それに伴い、各種税制も大幅な改正が行われることが予想されている。しかしそれとは別の動きとして、政権交代以前から経済産業省や財務省等は、ある税制の導入を念頭に勉強会を続けている。それは「資本に関係する取引等に係る税制についての勉強会」で、7月30日にその勉強会から「論点とりまとめ」と題する報告書が発表された。

その報告書によると、この勉強会では「グループ法人税制の導入」を目的として検討が行われている。今回は、この報告書の中から分かる範囲で「グループ法人税制」の概要をご紹介したい。ただし、この「グループ法人税制」は現段階ではまだ議論中のものであり、内容、導入時期等は未確定である。

グループ法人税制は中小同族会社にも影響か

グループ法人税制と聞いて思い浮かぶのは、連結納税制度である。これは100%親子会社を対象に、これらの会社を1つのグループとして所得通算を行い、申告する制度である。報告書によると、今回新設を検討しているグループ法人税制は、この連結納税制度を含むもっと大きな概念になるものらしい。グループ法人税制の中には、選択制の連結納税制度ともう1つ、「グループ法人単体課税制度(仮称)」という制度を考えているようである(こちらは選択制になるか、強制適用になるかは現段階で不明)。

このグループ法人単体課税制度は、連結納税制度のようにグループ間の完全な所得通算までは行わないものの、グループ法人間の譲渡取引、グループ法人間の寄附等について制限することとしている。具体的には、譲渡取引であれば、グループ間で売買した場合には譲渡損益を認識せず、グループ外に譲渡するときまで譲渡損益を繰り延べる。グループ間の寄附の場合には、寄附する側もされる側も損益を認識しない。

対象は原則100%親子会社であるが、グループの範囲には法人だけでなく個人も含む方向で検討されているため、上場企業のような大会社だけではなく、一般の中小企業、同族会社も対象になるものと思われる。

清算所得課税も改正の可能性

また現在の税制では、その法人の資本金により適用の有無等が判定される優遇税制がいくつかある。例えば、交際費の損金不算入や所得800万円以下の法人税軽減税率、同族会社の留保金課税などである。ここに挙げた3つは、いずれも期末資本金1億円以下で適用となる(もしくは優遇される)が、大法人の子会社などのグループ法人については、親会社の資本金等も判定要素に加えることが検討されている。またグループ法人税制とは別に、清算所得課税においても現在の財産課税方式から所得課税方式へ移行することが検討されている。

これらの改正は早ければ、来年度税制改正において実現する可能性がある。いずれも実現すればその影響は大きいと思われるので、今後の動きに注目したい。

税務ニュース№142


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