個人事業者における消費税申告の留意事項

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


個人事業者の消費税申告期限は3/31

平成18年分の所得税確定申告が去る3/15に期限を迎えたが、個人事業者の消費税の確定申告期限は3/31となっており、こちらはまだ期限まで猶予がある。個人事業者の消費税申告は、法人の消費税申告と比べて多少複雑な場合がある。個人には、事業者としての側面と消費者としての側面があるためである。今回は、個人事業者の消費税申告のポイントについて解説したい。

3つの注意点

個人事業者の消費税申告については様々なパターンがあるが、ここでは大きく以下の3つを注意点として取り上げる。

◆事業者の立場と消費者の立場の違い
◆所得区分と消費税の関係
◆基準期間の課税売上高

事業者の立場と消費者の立場

前述の通り、個人の場合は法人と違い、事業者と消費者の両面があるため、消費税計算の際には、それを区別する必要がある。

消費税の課税対象となる取引は「国内において」「事業者が」「事業として」「対価を得て行う」資産の譲渡、貸付及び役務の提供と定義されている。従って、個人が「事業者として」行った取引は消費税の課税対象となり得るが、「消費者として」行った取引は課税対象とはならない。

例を挙げて説明しよう。例えば、個人事業者が自宅兼事業所である建物を売却した場合、消費税の取扱いはどうなるだろうか。建物を売却した場合には、消費税の課税取引となるのが通常である。

しかし個人事業者の場合、建物のうち自宅部分の売却については、「事業者が」行った取引ではないため、この場合課税対象とはならない。事業所部分の売却のみが課税売上となるのである。

所得区分と消費税

次に、個人事業者の消費税計算を間違えやすくしている要因として、所得税における所得区分が挙げられる。

1種類の所得のみが発生している個人事業者なら問題はないが、例えば事業所得と不動産所得と譲渡所得の3種類の所得があるというような個人事業者の場合、消費税計算はどうなるだろうか。

消費税においては、所得区分という概念はなく、どの所得区分に該当していようが、その取引が課税かどうかという判断基準しかない。従って、それぞれの所得区分ごとに消費税を計算するということもないので、全ての所得から課税売上を計算することになる。

例に挙げた3種類の所得があるような場合には、事業所得と不動産所得の課税売上を計算するのはもちろんだが、譲渡所得の中に前項で紹介した事業用部分の建物の売却などがある場合には、それを合算するのも忘れてはならない。

基準期間の課税売上高

3つ目として、基準期間の課税売上高を計算する際にも、個人と法人では少し違いがある。

法人が事業年度の中途で事業を開始した場合、その期の課税売上高は、実際の課税売上高を12ヶ月分に割り戻した金額となる。例えば事業年度のちょうど真ん中で事業を開始し、6ヶ月で600万円の課税売上があれば、法人の場合にはこの期の課税売上高は600万円×12/6=1,200万円となり1,000万円を超えるため、2年後は課税事業者となる。

これが個人の場合では、12ヶ月分に割り戻すという処理はしない。従って7月に事業を開始し、12月までの6ヶ月間で600万円の課税売上があったという上記と同じケースでも、その年の課税売上高は600万円と計算されるため、2年後は免税事業者となる。基準期間の課税売上高は納税義務の判定に直結するため、誤りのないようにしたい。

税務ニュース№18


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