個人の支払い報酬に係る源泉徴収
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
もくじ
源泉徴収義務者
会社や個人は、人を雇って給与を支払ったり、税理士や外交員などに報酬を支払ったりした場合には、その支払の都度、支払金額に応じた所得税を差し引くこと(源泉徴収)になっている。この所得税を差し引いて、一定の期日までに国に納める義務のある者を源泉徴収義務者という。
しかし、個人のうち次の2つのいずれかに該当する人は、源泉徴収する必要がない。
・常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人
・給与や退職金がなく、税理士報酬などの報酬・料金だけ支払っている人(例:サラリーマンが確定申告をするために、税理士に報酬を支払っても、源泉徴収する必要はない)
源泉徴収が必要な報酬・料金など
居住者に対し、国内において源泉徴収の対象となる報酬・料金などの支払をする者は、その報酬・料金などを支払う際に所得税を源泉徴収する必要がある。源泉徴収が必要な報酬・料金の範囲は次のとおりだが、その支払を受ける者が、個人か法人であるかによって異なる。
<支払を受ける者が個人の場合>
○原稿料や講演料など
○弁護士・税理士、社会保険労務士など、特定の資格を持つ人に支払う報酬・料金
○社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
○プロ野球選手、モデルなどに支払う報酬・料金
○外交員、集金人などに支払う報酬・料金
○芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う、ラジオやテレビなどの出演等に対する報酬・料金
○ホステスなどに支払う報酬・料金
○広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
<支払を受ける者が法人の場合>
○馬主である法人に支払う競馬の賞金
源泉徴収し忘れた場合
本来、源泉徴収が必要な報酬などの支払いに対して、源泉徴収し忘れて納付していないことが発覚した場合、源泉徴収義務者は本来徴収し納付すべき税額を税務署に納めることになる。そして、源泉徴収義務者はその報酬などを受けた者から、源泉徴収し忘れた税金分をもらい受けることになる。
なお、法定納付期限を過ぎている場合には、不納付加算税(5%または10%)や延滞税(法定納期限から2か月以内なら平成22年中は年4.3%、それ以降は年14.6%)、悪質な場合は重加算税(35%)が課税されるので、注意していただきたい。
多く源泉徴収してしまった場合
本来、源泉徴収が不要な報酬などに対して、源泉徴収し、税務署に納めてしまったことが発覚した場合、源泉徴収義務者はその報酬などを受けた者に源泉徴収した税額を戻すことになる。そして、源泉徴収義務者は税務署に「源泉所得税の誤納額還付請求書」を提出して、間違って多く納めた税額の還付を受けることになる。
面倒でも、個人に対して報酬・料金などを支払う場合には、源泉徴収が必要かどうかを確認していただきたい。
税務ニュース№195
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