破産等により株式の価値が失われたときの損失と繰越控除

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


日本航空株式も該当

平成22年2月20日付けで日本航空が会社更生法の適用に伴い上場廃止となり、11月30日付けで更生計画認可の決定を受けた。そして、12月1日付けで日本航空株式の無価値化が確定した。

そこで、特定口座内に保管されている上場株式等が上場廃止などにより価値を喪失した場合、その損失を他の株式等の譲渡益と損益通算できるのか、その損失について上場株式等の譲渡損失等と同様に損失の繰越ができるのかどうか、気になるところだ。

特定管理株式等が価値を失った場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例

株式の発行会社の破産等により個人が所有する株式の価値が失われたとしても、それによる損失は原則として他の株式等の譲渡益や給与所得など他の所得の金額から控除することはできない。

しかし、特定口座に保管されていた内国法人の上場株式が、上場廃止となった日以後、特定管理株式又は特定保有株式に該当していた場合で、その株式を発行した株式会社に清算結了等の一定の事実が生じたときは、その株式の譲渡があったものとして、その株式の取得価額を譲渡損失の金額とみなす特例がある。この特例により譲渡損失とみなされた金額は、その年の他の株式等の譲渡益から控除できる。

なお、その譲渡損失とみなされた金額が他の株式等の譲渡益から控除しきれなかったとしても、その金額を翌年以降に繰り越すことはできないので注意していただきたい。

ちなみに一定の事実とは、次のことをいう。

1.清算が結了したこと
2.破産手続き開始の決定を受けたこと
3.会社更生計画または民事再生計画に基づき100%減資をしたこと
4.特別危機管理開始決定を受けたこと

結論として、特定口座内に保管されている日本航空株式については、平成22年度分の確定申告において譲渡損失を認識することができる。この場合の譲渡損失は、株式等の譲渡損失とみなしているだけで、上場株式等の譲渡損失にはあたらないことから、他の株式等の譲渡益から控除しても控除しきれない場合であっても、その年限りで打ち切りとなり、その控除しきれない譲渡損失を申告分離課税の上場株式等の配当所得との損益通算することも、翌年に繰越すこともできない。

譲渡損失として申告するための書類が重要

この特例の適用を受けるためには、一定の事実が生じた年分(平成22年分)の確定申告書に、この特例の適用を受ける旨を記載するとともに、次の書類を添付する必要がある。

1.証券会社から送付された「価値喪失株式に係る証明書」
2.特例の対象となる価値を喪失した株式とそれ以外の株式等を区分して記載された株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書

税務ニュース№211


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