平成24年度税制改正はいかに?~日税連、税制改正建議書をヒントに

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


新政権、今後の税制方針は?

例年であれば、9月上旬のこの時期は、来年度税制改正要望が出揃い、税制調査会の活動も徐々に活発になっていく頃であるが、今年は少し様相が違う。平成23年度税制改正は未だ一部が未成立のままであり、復興財源を賄うための増税案等も固まっていない。先日発足した野田政権の下で、今後順次方針が決まっていくものと思われる。

平成24年度税制改正がどうなるのかも気になるところである。こちらについては、各省庁からの改正要望はまだ提出されていないが、民間団体からの要望は既に提出されているものがある。今回はその1つとして、日本税理士会連合会から提出された「平成24年度・税制改正に関する建議書」を取り上げる。

配偶者控除等の見直しはあるか

税理士法では、日本税理士会連合会及び税理士会は、税務行政や租税等について、官公署に建議等することができる、と規定されており、この規定に基づいて日本税理士会連合会は、毎年税制改正に関する建議書をまとめている。その中からいくつかピックアップしてご紹介する。

所得税については、合計7項目が挙げられている。その中で、所得控除の整理・簡素化として、配偶者控除及び配偶者特別控除の廃止や適用要件である合計所得金額基準の見直しについて触れられている。見直しについては、基礎控除の拡充とセットで検討すべき、と提言されている。配偶者控除等の見直しは、昨年も税制調査会で課題としては検討されたようだが、税制改正大綱の段階では採用されなかったという経緯がある。

役員給与は、最近の税制改正の中心項目

法人税については合計5項目が挙げられており、その中に役員給与の損金不算入規定の見直しという項目がある。役員給与は近年、税制改正の中心となっている。平成18年度税制改正では、特殊支配同族会社の役員給与損金不算入制度、定期同額給与、事前確定届出給与などの制度が導入され、特殊支配同族会社についてはその後平成22年度税制改正により廃止されるなど、紆余曲折も見られる。さらに、まだ成立していない平成23年度税制改正案の中にも、役員給与の給与所得控除額の制限規定が設けられている(従業員に対する制限もあり)。

日本税理士会連合会の建議書の中では、これらの役員給与制度について、役員給与は原則損金算入とし、損金の額に算入されないものを包括的又は限定的に施行令に規定したり、通達で追加的に示してはどうか、という案が提示されている。また中小閉鎖会社においては、利益連動給与の損金算入も検討すべき、としている。

基本項目の改正続く消費税

消費税については、基準期間制度の廃止、簡易課税制度の見直し、仕入税額控除に係る帳簿等への記載要件の緩和、の3項目が挙げられている。消費税の基準期間制度については、少し分かりにくい部分もあり、実務上も顧問先の方になかなか納得頂けないことがある。簡易課税については、いわゆる益税問題がある。消費税については最近、消費税還付に関する改正、免税点制度の改正など、根本的な改正が続いており、今後もこれらの基本項目が改正項目として取り上げられる可能性は十分に考えられる。

税務ニュース№240


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