生前退職金と死亡退職金の違い

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2012.10.16


退職所得は、税制上大幅に優遇されている

経営者が法人から退職金を受け取る場合、税金面では大きなメリットがある。役員退職金の支給金額の目安は、「最終報酬月額×勤続年数×功績倍率」とされており、資金準備ができていれば、多額の退職金を支給することが可能である。この場合、役員退職金を支給した法人では、高額の損金を計上することができる。

一方、退職金を受け取った役員側では、その退職金は退職所得となる。退職所得は、収入金額から勤続年数に応じた退職所得控除額を差し引いて、さらにそれを2分の1した金額(注)となるため、所得が大幅に圧縮される。また、退職所得の課税は分離課税とされており、その点でも優遇されている。

(注)平成25年分所得税からは、特定役員等(勤続年数が5年以下の法人の役員等)が支払いを受ける特定役員退職手当等については、2分の1課税は廃止される(個人住民税は、平成25年1月1日以後に支払われるべき退職手当等について適用)。

支払時期によって、税金が変わる

実際に、経営者が退職金の受け取りを検討する場合、時期によって選択肢は2つに分かれる。1つは、生前退職金として受け取る方法、もう1つは、死亡退職金として受け取る方法である。

生前退職金として受け取る場合は、退職金の支給によって、自社株の評価が大きく下がる可能性がある。この場合、退職金の支給と同時に、自社株の贈与なども検討の余地がある。ただし、退職金の受け取りにより、現預金という個人財産は増えることになり、それらの財産が相続時にも残っている場合には、相続税の課税対象となる。つまり、結果的には所得税と相続税が両方課税されることになる。

一方、死亡退職金として受け取る場合には、所得税が課税されず、相続税のみが課税される。しかし、相続税には死亡退職金の非課税制度があり、法定相続人1人当たり500万円の非課税枠があるため、課税対象額は少なくて済む。ただ、この場合は生前に退職金を受け取ることができないため、老後の費用等として活用することができなくなる。

税務ニュース№294


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