どうなる?今年で適用期限を迎える優遇税制

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


来年の税制改正の行方は?

いよいよ12月に入り、政府、与党両税制調査会の動きも慌しくなってきた。普段は新聞紙上でも税金関係の記事を見かけることは少ないが、毎年この時期は連日、税制調査会の動きが伝えられる。

自民党税制改正大綱の発表は、毎年12月15日前後である。税務に携わる人間としては、この大綱にはできるだけ早く目を通しておく必要がある。というのも、この大綱の中には今年いっぱいで期限切れとなる税務上の特例についての記載があるからである。特に、優遇措置が今年で期限切れとなるのであれば、年末まで猶予は半月しかない。その間に打てる手があれば、早急に対応しなければならない。

平成15年12月17日に発表された平成16年税制改正大綱には、不動産譲渡損失の損益通算を原則廃止するという方針が急遽盛り込まれた。事前のアナウンスはほとんどなかった上、翌年1月からの譲渡について損益通算廃止となっていたため、年末までの半月の間で譲渡できた人だけが、滑り込みで損益通算に間に合ったのである。

延長か廃止か!?議論真っ只中の特例

そこで、今回は今年末で適用期限が切れるため、その延長の是非を巡って議論されている特例について取り上げる。合わせて今後期限切れになる特例についても触れておく。

■今年末で適用期限を迎える主な特例(廃止か延長かは不明)

◇特定事業用資産の買換特例(15号(個人)、16号(法人))
特定の資産を譲渡し、一定期間内に他の特定の資産と買い換えた場合に、譲渡益への課税を繰り延べる制度。その中でも各号ごとに譲渡資産や買換資産に条件がある。5・16号は国内の10年超所有資産を譲渡し、1年以内に買換資産を事業の用に供するなどの条件で、他の各号と比較して格段に利用しやすいものであったが、この15・16号のみ今年末で期限切れとなる。


◇特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
所有期間5年超の居住用財産を譲渡した場合で、譲渡契約日前日において住宅借入金が残っている場合等には、譲渡損失のうち一定の金額について、他の所得との損益通算及び3年間の損失繰越ができる。住宅ローン控除との併用も認められている。現在の規定は、平成18年12月31日譲渡分まで有効。


◇特定居住用財産の買換特例
所有期間10年超などの条件を満たす特定居住用財産を買い換えた場合に、譲渡益を繰り延べる制度。現在の規定は、平成18年12月31日譲渡分まで有効。

今年末で適用期限を迎える主な特例(廃止決定)

◇ 損害保険料控除
来年以降の廃止が決定しているが、今年末までに契約した長期損害保険契約(保険期間が10年以上で、満期返戻金がある等の条件を満たすものに限る)については、経過措置として来年以降も控除が認められている。

来年3月末で適用期限を迎える主な特例

◇ エンジェル税制
個人投資家(エンジェル)が特定のベンチャー企業等の株式を払込みにより取得した場合に、一定の要件の下で、他の株式譲渡益からその投資額を控除できる。また、所有期間3年超の上記株式を上場後3年以内又は上場前のM&A等により譲渡したときは、譲渡益が1/2に圧縮される。損失が出た場合は3年間繰越可。現在は投資対象となる会社の要件が厳しい。

来年末で適用期限を迎える主な特例

◇証券優遇税制
上場株式等の譲渡益に対する税率は、現在10%に優遇されている。適用期限は来年末であるが、今回の税制改正で何らかの手が打たれる可能性はある。(配当に対する10%の優遇税制の適用期限は再来年末)


◇ 定率減税(廃止決定)
平成18年分は20%(最大25万円)から10%(最大12万5千円)に引き下げられ、来年全廃。

税務ニュース№4


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