中小企業に広がるか、地域版ISO認証

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


中小企業には負担大のISO14001

近年は世界的にも環境問題に関心が高まっており、企業も環境問題を無視しての経営はできなくなってきている。そのため、大手企業では国際規格である「ISO14001」を取得する企業もあるが、中小企業の間にはなかなか広がっていないというのが実情だ。

「ISO14001」は、国際標準化機構(ISO)が1996年に始めた環境マネジメントシステムに関する国際規格である。おおまかには、認可を受けようとする各企業において環境改善計画を作成し、審査登録機関の審査に合格した企業に与えられる。

「ISO14001」を取得するメリットは、やはり国際機関による認証を受けられたという点にある。それにより社会的信用力がぐっと向上し、取引先や金融機関等の印象を良くすることができる。また、実際に改善計画を実行できれば、エネルギーコスト等の削減にもつながる。中小企業がこれを取得できれば、大企業との取引にも有利に働くだろうし、他の中小企業との差別化もできる。

しかし、実際には中小企業にはあまり浸透していない。その最大の原因は、認証のための取得費用が100万円程度かかり、認証を維持するための管理、事務コストもかなりの負担になることである。認証後も定期的に審査があるため、専任者を置かなければ対応していくのは難しい。社外のISO専門コンサルタント等を利用すれば、認証費用等が数百万円になることもあるという。中小企業ではなかなか手が出しにくい、というのが本当のところだ。

NPO法人等が立ち上げた“地域版ISO”

そこで、NPO法人等が各地で中小企業でも手の届く範囲での環境認証規格を立ち上げており、現在全国では約15の“地域版ISO”ともいうべきものが存在している。

この“地域版ISO”は、「ISO14001」と比較して、認証のための取得費用が約10~30万円と格段に安く、審査も比較的簡素化されており、「ISO14001」には手の出なかった中小企業でも、利用できる。中には地方公共団体が認証費用の補助をするところや、入札時の加点要素になるところもある。

認知度はやはり「ISO14001」には及ばないが、中小企業が利用する分には、それでも十分他社との差別化、信用力の向上といった面では効果を発揮するだろう。

“地域版ISO”には融資で優遇措置もあり

中小企業がこの“地域版ISO”を取得した場合のメリットは他にもある。それは金融機関からの融資においてである。金融機関にもこの動きに合わせた商品を用意しているところがあり、都銀や地銀の一部では、“地域版ISO”を持っている企業に対して金利等を優遇するところがある。どこの金融機関でも扱っているわけではないが、該当すればおよそ0.3~0.5%の金利優遇等が受けられるようだ。

今後、中小企業にも環境問題という波が押し寄せてくるかもしれない。先手を打って、こういった“地域版ISO”に挑戦してみるのはいかがだろうか。

税務ニュース№47


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