H19年末調整における改正点

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


定率減税の完全廃止

今年も残り2ヶ月を切り、年末恒例の年末調整の時期がやってくる。各家庭にも「保険料控除証明書」や「国民年金保険料控除証明書」などの資料が届き始めている。今回は、今年の年末調整から適用になる主な変更点をご紹介したいと思う。

まず、何といっても一番影響のあるのが「定率減税の廃止」だろう。定率減税は、平成11年度税制改正によって創設され、平成17年分所得税までは所得税額の20%(最高25万円)が年税額から控除されていた。しかし、定率減税の段階的廃止が決定し、昨年は所得税額の10%(最高12万5千円)に減税額が半減され、ついに今年の所得税から定率減税は全廃される。

今年から所得税率も変更になっているため、その影響を心配される方も多いだろう。基本的には毎月徴収される源泉徴収税額表が、所得税率の変更や定率減税の廃止を織り込んだものとなっているが、所得税率が改正前より下がっている人は、その分例年より還付額が減ってしまうこともあり得る。

損害保険料控除は経過措置に注意

2つ目の変更点は「損害保険料控除」についてである。昨年までは、短期損害保険については最高3,000円、長期損害保険については最高15,000円、両方を適用する場合には最高15,000円の所得控除が受けられた。その「損害保険料控除」が今年からは廃止となり、新たに「地震保険料控除」が新設された。

「地震保険料控除」は従来の「損害保険料控除」と違い、対象となるのは地震保険のみで、その控除額は最高5万円に拡大されている。

ただし経過措置として、昨年までに契約した長期損害保険(注)に限り、今年以降も従来の「損害保険料控除」の適用(最高15,000円)を受けることができる。地震保険料控除との併用も認められており、その場合には控除額は最高5万円までとなる。この場合、今後この長期損害保険の変更をしてしまうと、経過措置の適用が受けられなくなるため、注意して頂きたい。

もう1つ気を付けておきたいのは、同一の損害保険契約等に基づいて、地震保険料とこの経過措置の対象となる長期損害保険料の両方を支払っている場合である。この場合には、「地震保険料控除」か従来の「損害保険料控除」かどちらか有利な方を選択することができることになっているので、覚えておいてほしい。

住宅ローン控除を住民税から控除できる場合

最後に住宅ローン控除の適用について、簡単に触れておきたい。所得税から住民税への税源移譲により所得税率が下がっている方は、年末調整で受けられる住宅ローン控除額が昨年より減ってしまう。

このような方々は、その減った部分の住宅ローン控除額を住民税から控除することができる。この場合、各市町村に届け出が必要となるため、確定申告をしない方でも来年3月17日までに「住宅借入金等特別税額控除申告書」を提出しなければならないので、忘れることのないようにして頂きたい。

(注)次の全てに該当する損害保険契約等
(1)保険期間又は共済期間の始期がH19.1.1以後でないこと
(2)保険期間又は共済期間の満了後に満期返戻金を支払う旨の特約のある契約及び建物又は動産の共済期間中の耐存を共済事故とする共済に係る契約であること
(3)保険期間又は共済期間が10年以上であること
(4)H19.1.1以後にその損害保険契約等の変更をしていないものであること

税務ニュース№51


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