扶養控除をうまく活用しよう

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


扶養控除の4要件

年末調整特集ということで、今回は配偶者控除と同じく、年末調整においても重要な位置を占める扶養控除のポイントについて解説していきたい。

まずは扶養控除の要件から確認しておこう。以下の4つの要件を満たした場合に一定額の控除が受けられる。

(1)原則として配偶者以外の親族であること
(2)納税者と生計を一にしていること
(3)年間の合計所得金額が38万円以下であること
(4)原則として、青色事業専従者や白色事業専従者でないこと

要件と控除額

基本的に対象となるのは、配偶者以外の親族(6親等内の血族と3親等内の姻族)で同一生計、年間所得38万円以下ということになるが、上記の要件のうち、(2)~(4)については、配偶者控除と全く同じである。対象者が配偶者であるか、それ以外の親族であるかという違いのみである。

したがって必ずしも同居が条件ではなく、生活費を仕送りして扶養しているということであれば、別居でも構わない。

控除額は以下のようになっている。

(1)一般扶養親族
38万円(同居特別障害者は73万円)

(2)特定扶養親族(12/31現在で満16歳以上23歳未満)
63万円(同居特別障害者は98万円)

(3)老人扶養親族(12/31現在で満70歳以上)
①同居老親等   58万円(同居特別障害者は93万円)
②同居老親等以外 48万円(同居特別障害者は83万円)

適用に当たっての2つのポイント

扶養控除の適用にあたって重要なポイントとなるのは、「誰が」対象となるのか、「誰で」適用を受けるのか、である。「誰が」対象となるのかについては気に掛けているが、「誰で」適用を受けるのかまでは考えていないという方も多いのではないだろうか。

例えば、夫婦共働きで子供が3人いるといったケースでは、扶養控除の受け方にも以下のように様々なパターンが考えられる。

(1)3人とも夫の扶養控除に入れる
(2)夫の扶養控除に2人、妻の扶養控除に1人入れる
(3)夫の扶養控除に1人、妻の扶養控除に2人入れる
(4)3人とも妻の扶養控除に入れる

判断のポイントとしては、所得の多い方で扶養控除を受けるということである。所得税は累進課税であるため、その方が節税効果は大きくなる。一方、夫婦とも収入がさほど変わらないといった場合には、それぞれに割り振って扶養控除を受ける方が一般的には有利になる。

ただし、他の所得控除や税額控除との関係があるため、一概には言えない。上記の例で、夫が住宅ローン控除の適用のみで税額が0になるといった場合には、3人とも妻で扶養控除の適用を受ける方が有利になるし、他にも様々なケースが考えられるため、最終的には総合的に判断して頂きたい。

尚、扶養控除は継続適用ではないため、毎年対象者が変わったとしても全く問題はない。また年末調整後に、夫婦ともに確定申告し直すことで、扶養控除を入れ替えることも可能である。ただし、いったん確定申告書を提出してしまうと、修正申告や更正の請求での変更は認められないため、注意が必要である。

税務ニュース№55


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