寡婦(寡夫)控除の適用もれに注意
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
もくじ
増える寡婦(寡夫)控除対象者
今年も2/16の確定申告開始日が近づいてきた。今回は、確定申告において誤りやすい項目として「寡婦(寡夫)控除」を取り上げたい。
ここ数年、年末調整や確定申告作業を行う中で、寡婦(寡夫)控除の対象となる方が非常に増えてきているように感じる。その反面、本人には寡婦(寡夫)控除の対象となるという認識が薄い場合も多く、また意外に対象となるかどうかの判断も誤りやすい。
ここで、まずその基本となる要件を確認しておこう。ただ「寡婦控除」と「寡夫控除」ではそもそも要件が異なるため、まずは「寡婦控除」から見ていくことにする。以下の要件のいずれかを満たした場合には、27万円の所得控除が受けられる。
(1)夫と死別(生死不明の場合含む)又は離婚し、その後結婚しておらず、所得金額が38万円以下の同一生計の子供、扶養親族がいること
(2)夫と死別(生死不明の場合含む)しており、本人の合計所得金額が500万円以下であること
尚、以下の3つの要件を満たした場合には「特定の寡婦」として、35万円の控除が受けられる。
(1)夫と死別(生死不明の場合含む)又は離婚し、その後結婚していないこと
(2)扶養親族である子供(所得金額38万円以下)がいること
(3)本人の合計所得金額が500万円以下であること
寡婦控除、適用のポイント
要件は上記の通りなのだが、実務上誤りやすい点をいくつか挙げておこう。
夫と離婚して、その後結婚していないという要件を満たしている場合には、所得金額が38万円以下の子供がいれば、本人の収入金額には関係なく、寡婦控除が受けられる。
また子供がいない場合でも、その他の扶養親族(例えば両親)で所得金額38万円以下のものがいれば、寡婦控除の適用は可能である。
夫と死別している場合には、本人の合計所得金額が500万円以下であれば、扶養親族がなくても控除が受けられる。ただ500万円を越えていたとしても、離婚の場合と同様、所得金額38万円以下の扶養親族がいれば控除対象となる。このあたりの要件が混乱しがちなので、注意したい。
また「特定の寡婦」として35万円控除を受ける場合には、扶養親族は必ず子供でなければならない上、500万円以下という所得基準も満たさなければならない。
尚、これらの要件はいずれも12/31の現況で判断することになっている。
寡夫控除は27万円控除のみ
次に「寡婦控除」の男性版である「寡夫控除」について触れておきたい。
寡夫控除には、「特定の寡夫」というものは存在しないため、27万円控除のみである。また寡夫控除の要件は、「寡婦控除」でいうところの「特定の寡婦」の要件を満たさなければならない。
つまり扶養親族の子供あり、所得金額500万円以下という両方の要件が必要で、なおかつそれを満たしていても女性なら35万円受けられる控除が、男性なら27万円の控除となるため注意したい。
税務ニュース№62
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