配当控除

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


個人株主と配当控除

上場株式等や未上場株式等を所有している場合には、会社の業績等に応じ配当金を受け取ることがある。そもそも配当金は法人税課税後の利益を株主に分配するのだが、株主に分配される際にさらに所得税が課税されており、この二重課税を調整するために配当控除という制度がある。個人株主の場合は、確定申告で配当控除(税額控除)を受けることにより、配当金から源泉徴収されている税金を取り戻すことができる場合がある。

配当金からの源泉徴収

個人株主が配当金を受け取る際には、下の区分に応じ既に税金が源泉徴収されている。

(1)上場株式等の配当等⇒所得税7%+住民税3%
ただし、発行済株式総数の5%以上に相当する株式等を有する大口株主は、(2)に該当する

(2)上場株式等以外の配当等⇒所得税20%のみ

確定申告不要制度

配当所得は、原則として総合課税の対象となるが、特例として確定申告不要制度が採られている。ちなみに総合課税とは、給与所得や不動産所得などと合算して所得金額を求めることである。

そして確定申告不要制度の対象となる配当金だが、上場株式等の配当等については、大口株主以外は金額の多寡にかかわらず、確定申告しなくてもよい。また、この特例制度は上場株式等以外の配当等にも適用されるのだが、この場合は1回に支払を受ける配当金額が10万円に配当計算期間の月数をかけ12で割った金額以下の少額配当については確定申告をしなくてもよいこととなっている。

配当控除とは

配当所得について確定申告を選択する場合には、配当控除という一定金額の税額控除を受けることができる。 配当控除とは、課税総所得金額等が1,000万円以下と超で2つの計算式がある。

まず、課税総所得金額等(申告書A第一表の21、申告書B第一表の26)が1,000万円以下の場合は、配当所得の10%が配当控除として控除される。次に課税総所得金額等が1,000万円超の場合は、1,000万円以下の部分は10%、1,000万円超の部分は5%となる。

※配当所得の金額=収入金額(源泉徴収前)-株式取得のための借入金の利子

申告した方が有利となる人

日本の所得税は累進課税を採っているため、所得の高い人ほど税率が高くなっている。高額所得者が配当金を申告すると源泉徴収されている税率以上の税率が配当金にも課税され損することになる。

では、どのような人が敢えて申告すると税金を取り戻すことができるのか?それは、上場株式等の配当等の場合は、配当所得も含めた課税総所得金額等が330万円以下の人である。

これに該当する人は、所得税率が5%又は10%の人で配当控除10%を受けることにより源泉徴収された7%の所得税を取り戻すことができる。

また上場株式等以外の配当金については、課税総所得金額等900万円以下の人となる。

扶養控除との関係

たとえば、専業主婦の奥さんがこの配当控除を受けるために確定申告した場合には、奥さんに所得が発生してしまうことになる。所得が38万円以下であれば夫は配偶者控除の適用を受けることが出来るが、所得が38万円超となると夫の税金が増えてしまうことになるので注意しておいていただきたい。

税務ニュース№65


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