上場株式等に係る譲渡所得

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


上場株式等譲渡所得に係る申告

先日、確定申告相談会に参加してきた。そこで国税局の方が株式等譲渡所得の申告をされる納税者が多いと話されていたので、今回は株式等譲渡所得について説明する。

まず、上場株式等の場合、証券会社等でどの口座を通じて売却したかをまとめる必要がある。一般口座と源泉徴収なしの特定口座は、確定申告で1年間の株式取引を精算することとなる。

一方、源泉徴収ありの特定口座は上場株式等の売却の都度、年初からの純利益を計算し、その年における前回の売却までの純利益の額を超える部分の金額(源泉徴収選択口座内調整所得金額)が生じた場合には、その売却金額を支払う際にその源泉徴収選択口座内調整所得金額に所得税7%(他に住民税3%)を乗じた税額が証券会社等により源泉徴収され、納税が完結する仕組みとなっているので基本的に確定申告する必要はない。

ただし、源泉徴収あり特定口座において年間で譲渡損失となった場合で、その損失をその他の口座の売却益と相殺するとき、又は上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例の適用を受けるときは確定申告をする必要がある。また、源泉徴収あり特定口座を2つ有する者は、口座ごとに申告するかしないか選択することも出来る。

上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除

この制度は、上場株式等を証券会社等を通じて売却したことにより生じた損失金額のうち、その年の他の上場株式等譲渡所得金額から控除しきれない金額については、その年の翌年以後3年間にわたり、上場株式等譲渡所得金額から繰越控除してあげましょうという制度である。

この制度を受けるには、損失が生じた年以降連続して確定申告をする必要がある。例えば、源泉徴収あり特定口座を選択している者が、昨年に譲渡損失が発生したが当初の確定申告書には記載せずに申告し、本年において譲渡所得が発生したため昨年分の申告について更正の請求をすることは認められない。それは、源泉徴収あり特定口座は申告不要制度であるため当初申告において申告を選択していないものは、更正の請求は認められない。(一般口座又は源泉徴収なし特定口座においては可能)

特定上場株式等に係る譲渡所得等の非課税

平成13年11月30日から平成14年12月31日までの間に購入した上場株式等を、平成17年1月1日から平成19年12月31日までの間に証券会社等を通じて売却した場合、選択により、その購入価額が1,000万円に達するまでのものについて売却による所得は非課税となる。ただし、確定申告が要件であり、この非課税の特例の適用を受けるためには、確定申告時に購入価格を証明する書類「特定上場株式等非課税適用選択申告書」を提出する必要がある。

なお、源泉徴収あり特定口座において売却した上場株式等は、この非課税の特例の対象とはならないのでお間違えのないようにされたい。

扶養控除との関係

源泉徴収あり特定口座における上場株式等に係る譲渡所得は、配偶者控除・扶養控除などを判定する際の合計所得金額には含めない。しかし、損失の繰越控除をするために確定申告をする場合には所得が生じてしまう。例えば、専業主婦の妻が損失の繰越控除をすることにより、夫の扶養から外れてしますケースもあるので事前に検討したほうがよい。

税務ニュース№66


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