税効果会計の基本知識

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


税効果会計の適用会社

税効果会計は、国際会計基準、キャッシュ・フロー計算書、退職給付会計、時価会計というような新しい会計手法の一つであるが、2000年3月期より導入された。

なお、この税効果会計が強制適用されるのは、金融商品取引法の適用を受ける公開会社と会社法上の大会社(資本金5億円以上又は負債総額200億円以上の会社)であり、それ以外の会社については任意適用となっている。

会計と税法の期ずれ

法人税の課税所得の計算の基礎となる収益の額及び費用等の額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算される。つまり、法人の確定した決算による企業利益をスタート時点とし、この企業利益に法人税法上の申告調整事項を加算・減算することにより課税所得(課税対象となる所得のこと)を求めることになる。

なぜ、法人の確定した決算に申告調整をする必要があるのか?その理由の一つは、会計上は費用として計上しても、法人税法上では損金限度額が設けられていることがあるからだ。例を挙げるなら、引当金や減価償却費の繰入限度超過額などがある。

しかしながら、引当金や減価償却の繰入限度超過額などの「期ずれ」が原因の申告調整事項は、翌事業年度以後にいずれは解消する。このような「期ずれ」が原因の会計上と税法上の差異を、税効果会計においては「一時差異」といい、税効果会計の対象となる。

なお、交際費や役員賞与などのように会計上は費用となるものの税法上は永久に損金にならないような差異は「永久差異」といい、税効果会計の対象とはならない。

一時差異が発生する例

税効果会計は、一時差異がある場合、利益を課税標準とする法人税等の額を適切に期間配分することにより、税引前当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする手続きである。例を挙げて検証してみる。

前提:税引前当期純利益=1,000、減価償却繰入限度超過額=400、法定実効税率50%とする。

(税効果会計を適用しない場合)
課税所得×税率=納付税額⇒(1,000+400)×50%=700
従って税引後当期純利益は1,000-700=300となる。損益計算書上は、利益1,000に対し、税金負担は70%になってしまう。

(税効果会計を適用した場合)
納付税額は変わらないが、一時差異に対する税金400×50%=200⇒この分を当期の法人税等で調整することになる。
従って税引後当期純利益1,000-700+200=500となる。損益計算書上は、利益1,000に対し、税金負担は法定実効税率50%と同じく50%となっていることがわかり、税引前当期純利益と法人税等が合理的に対応されている。

中小企業の会計に関する指針

中小企業の会計に関する指針(以下、指針という)とは、中小企業が計算書類の作成に当たり、拠ることが望ましい会計処理や注記等を示すものであり、昨今は金融機関の融資審査等においても活用されている。

この指針において、税効果会計という項目があり、重要性がない場合を除き、一定の要件に該当する一時差異を認識し、税効果会計の適用を促している。

税務ニュース№68


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