決定!平成20年度税制改正

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


やっと決定

平成20年度税制改正案は、例年であれば3月末における国会審議により決定される予定であった。しかし、皆様ご存知の通りねじれ国会(衆議院では与党が過半数、参議院では野党が過半数)により平成20年度税制改正案は3月末に決定されなかったのだが、3月31日に期限の到来する租税特別措置のうち一部が「国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法の一部を改正する法律」、通称「つなぎ法案」として2ヶ月延長された。

そして、4月30日にやっと平成20年度税制改正に関する法律「所得税法等の一部を改正する法律」が公布・施行されたのだ。

改正内容

「所得税法等の一部を改正する法律」により改正された租税特別措置の適用関係のうち中小企業に影響があると思われるものを列挙する。

<平成20年4月1日から適用されるもの>
・試験研究を行った場合の特別税額控除
・中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除
・情報基盤強化設備等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除
・教育訓練費の額が増加した場合の特別税額控除
・中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
・交際費等の損金不算入 等


<平成20年4月30日以降適用されるもの>
・使途秘匿金がある場合の課税の特例
・欠損金の繰戻しによる還付の不適用
・自動車重量税の税率の特例
・揮発油税及び地方道路税の税率の特例


<平成20年1月1日から適用されるもの>
・住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例

適用期日が異なる理由

なぜ、適用期日が異なるのか?それは、不利益不遡及の原則に従い、納税者不利にならないように配慮されているからだ。従って、贈与税は暦年課税であるため、納税者有利になるよう本年1月1日に遡及して適用される。

では4月30日から適用となる理由はというと、欠損金の繰戻しによる還付の不適用を例に挙げよう。これは、おおまかには当事業年度に欠損金が生じた場合には、その欠損金額をその欠損事業年度の前事業年度に繰り戻し、前期に納めた税金の還付を受けることが可能になるというものである。しかし、租税特別措置法により一定の会社以外は現在、還付不適用とされている。この措置法を4月1日に遡及して適用すると結果的に納税者不利となってしまう会社がでてくる。そこで適用が4月30日となっているというわけである。

中小企業はひと安心

租税特別措置法は時限立法であり、現在中小企業にとって税金上優遇されている内容が多い。例えば、試験研究費の税額控除や中小企業者等が機械等を取得した場合の税額控除等はすでに費用になっている支出額に対し、さらに税金面でフォローしてくれる制度である。

また、購入価額30万円未満の減価償却資産であれば、支出事業年度において全額費用(年間300万円まで)とすることができる制度も、平成22年3月31日まで延長されている。数々の税法はあるが、中小企業にとって使い勝手の良い税法というのは多くはないのだが、このたびいくつかの優遇税制が延長されたことは喜ばしいことである。

税務ニュース№75


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