株券電子化、いよいよ来年から始まる

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


来年に迫る株券電子化

株券の電子化(ペーパーレス化)がいよいよ迫ってきた。正式な実施日はまだ政令で定められていないが、来年1月の実施が目標とされている。実施されれば、「株券」自体はただの紙切れとなってしまい、何の価値も持たないことになる。

現在、上場株式全体の約2割はタンス株であると言われており、タンス株を保有しておられる方にとっては、特に聞き捨てならない話である。年末ぎりぎりになれば、証券会社の窓口も電子手続きのために混雑することが予想されるため、証券保管振替機構は早めの手続きを呼びかけている。

株券電子化のメリット

株券の電子化が進められている背景としては、タンス株では、やはり株券の受け渡しに伴う手間やコスト、株券の所有に伴うリスク等が少なからずあることが挙げられる。

現行制度では株式を保有する場合、自分で株券を管理する方法を選択してももちろん違法ではない。しかしこの場合、紛失や盗難、株券を偽造されるリスクがある上、株式売買や会社の名称変更等の際には、株券の受け渡しが必要になる。

株券を発行する会社側からしても、株券の発行に伴う印刷代や印紙代、株券の回収等のコストを削減でき、株券現物をチェックするなどという手間も省ける。

電子化に当たって手続きが必要となる場合

では株券電子化に備えて、株主は具体的にどのような手続きを取ったらいいのだろうか。現行制度でも、前述した「タンス株方式」だけではなく、「電子化方式」も既に採用されている。

具体的には、株券を証券会社等の保護預りにし、なおかつ証券保管振替機構に預託することに既に同意している株主の場合には、株券は証券保管振替機構に預けられ、そこで電子記録が取られている。このような株主の場合には、特に株券電子化に当たっても手続きを行う必要はない。

問題は、以下の2種類の株主と考えられる。

(1)株券を証券会社等の保護預りにしているが、証券保管振替機構に預託することに同意していない株主

(2)株券そのものをタンス株として所有している株主

これらの株主が現状のまま何も手続きを行わないとすると、株券電子化への移行時に、発行会社が指定する金融機関等に特別口座が開設されることとなる。その特別口座に株式が記録されるため、その株式が他人名義でない限りは、自分の株主としての権利は確保される。

しかし、この特別口座からは直接株式を売却することができないため、売却の際には、特別口座から証券会社等の自分の口座に株式を移し替える必要がある。その手続きのために、電子化実施前の2週間、実施後の3週間、計5週間は株式を売却することができなくなる。

それを避けるためには、証券会社等を通じて証券保管振替機構への預託に同意する手続きが必要となる(ただし、特例措置あり)。冒頭にも書いた通り、該当する方には早めの手続きをお勧めする。

税務ニュース№76


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