生命保険協会からの「平成21年度税制改正要望書」

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


「平成21年度税制改正に関する要望」

平成20年9月19日に生命保険協会(会長:松尾憲冶 明治安田生命保険社長)が、財務大臣をはじめ関係各方面に対し、平成21年度税制改正に関する要望書を提出した。

要望書は重点要望項目が3項目、要望項目が8項目から構成されている。

重点要望項目

重点要望項目については、前年度からの引き続きの要望内容であり、次のようなものである。

1.現行の生命保険料控除制度および個人年金保険料控除制度を統合一本化し、国民が遺族・医療・介護・老後の各生活保障を幅広く準備できる自助努力支援制度(新たな保険料控除)へ改組すること

2.遺族の生活資金確保のため、相互扶助の原理に基づいて支払われる死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行限度額を引き上げること
なお、課税方式が見直された場合においても、新たな非課税限度額が現行制度に加算分を加えた水準とすること

3.適格退職年金契約の円滑な移行を図るための措置を講ずること

新たな保険料控除への改組

日本はすでに人口減少社会に突入しており、今後「超高齢化社会」となる見通しである。ただでさえ将来の年金受取額に不安を感じている方が多いだろうが、昨今の年金問題でさらに不安は増殖するばかりである。そうなると国民の自助努力として、公的保障(国民年金・厚生年金等)だけでなく、私的保障(個人年金等)をバランスよく確保することが重要となってくるだろう。

そこで、生命保険協会は現行の生命保険料控除制度の内容を変更し、控除限度額を拡充することを要望している。

<現行>
・生命保険料控除制度(遺族保障・医療保障・介護保障)→所得税5万円・住民税3.5万円

・個人年金保険料控除制度(老後保障)→所得税5万円 住民税3.5万円


<税制改正要望内容>
・新たな生命保険料控除制度(複合化商品・医療保障・介護保障・老後保障)
 ※複合化商品とは、遺族保障をベースに医療保障、介護保障が付加された商品のこと

・所得控除限度額
→所得税15万円(複合化商品は遺族保障と合算で10万円、各区分5万円が上限)
→住民税7万円(複合化商品は遺族保障と合算で5万円、各区分3.5万円が上限)
※所得控除限度額は、区分毎にそれぞれ算出したものを合計し、制度全体の所得控除額が上限となる

死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行限度額の引き上げを要望

国税庁のデータによると相続財産の5割強が土地・家屋等という換金性が低いものであり、遺族が生活していく上では現預金は不可欠のものである。

死亡保険金は、保険受取人が保険金請求権を固有の権利として取得し、保険会社から直接受取るものである。しかし、相続税の計算において死亡保険金は相続財産とみなして課税としている一方、遺族の生活を守るために死亡保険金について非課税限度額というものが設けられている。そして、この非課税限度額の引き上げが要望されている。

<現行の非課税限度額>
法定相続人数×500万円・・・A

<税制改正要望内容>
A+「配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」

改正要望はどうなるのか

毎年、税制改正大綱の時期が近づく頃になると、生命保険料控除の縮小・拡充が話題にあがる。生命保険協会が実施した生命保険料控除制度に関するアンケート(回答者数129万人、平成19年度)によると、81%が「拡充して欲しい」とのこと。

生命保険料控除は、多くの納税者が利用している使い勝手のよい税制度なのかもしれない。

税務ニュース№99


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