骨太の方針2022を読む

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


経済正常化を進める日本の現状

新年度が始まり、コロナ感染者数にも徐々に落ち着きが見られ、経済は正常化に向けて動き始めています。

6月1日からは入国者数の上限が緩和され、飲食店への制限は徐々に緩和、地域観光支援策である旅行代補助キャンペーンについても、大阪は既に6月1日から再開、東京も6月中に再開見込となっています。

一方、2022年4月の一般会計税収は、前年同月比37.6%増で、所得税、法人税、消費税の収入すべてが増え、過去最高ペースです。

ただ、世界に目を向けると、アメリカは6月1日から量的引き締め開始、英米については既に金利引き上げ、今後1年で見込まれる世界の中央銀行による資産圧縮規模は2兆ドルに及ぶと試算されています。

そんな中、5月31日に総額2.7兆円規模の補正予算が成立し、「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」が実施されます。

骨太の方針2022、今後の経済政策の方向性は?

さらに、5月31日にいわゆる”骨太の方針”と呼ばれる今後の経済政策の方向性を示したもの「経済財政運営と改革の基本方針」の原案が公表されました。

今後の中小企業経営に影響する部分が少なからずあると思いますので、気になるところをいくつかピックアップしていきます。

【4本の柱】
1.人への投資
2.科学技術・イノベーションへの投資
3.スタートアップへの投資
4.GX・DXへの投資

※GX=グリーントランスフォーメーション
※DX=デジタルトランスフォーメーション

【人への投資】
・副業、兼業の推進、選択的週休3日制度の導入促進
・雇用調整助成金の特例措置を9月末まで3ヶ月延長(段階的縮減)
・賃上げ促進税制の活用促進
・賃上げを行った企業からの優先的な政府調達等の取り組み
・最低賃金の全国加重平均1,000円以上を目指す

<資産所得倍増ブラン>
・NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充
・iDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革
・国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設
・本年末に総合的な「資産所得倍増ブラン」を策定

【科学技術・イノベーションへの投資】
・研究開発投資を増加する企業に対しては、インセンティブを付与

【スタートアップへの投資】
・スタートアップエコシステム育成の全体像を5ヵ年計画としてまとめる
・IPO(新規株式公開)プロセスの見直し
・ストックオプション等の環境整備
・国内外のベンチャーキャピタルに対する公的資本の有限責任投資等による投資拡大
・個人保証や不動産担保に依存しない形の融資への見直し
・事業全体を担保とした成長資金の調達を可能とする仕組みづくり

【GXへの投資】
・2050年にカーボンニュートラルを実現
※カーボンニュートラル= 温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること
・今後10年間に150兆円超の投資を実現

【DXへの投資】
・法人設立時の手続の迅速化、費用軽減を含む規制改革
・2022年度末にほぼ全国民にマイナンバーカードが行き渡ることを目指す

中小企業支援に対するスタンスは?

骨太の方針の中でも、特に中小企業等について言及されている部分がありますので、その部分をほぼ全文引用します。

この部分だけでも目を通しておいて下さい。

(中堅・中小企業の活力向上)
地域の経済やコミュニティを支える中堅・中小企業の生産性向上等を推進し、その活力を向上させ、経済の底上げにつなげていく。

感染症に加え、デジタル、グリーン等の事業環境変化への対応を後押ししつつ、切れ目のない継続的な中小企業等の事業再構築や生産性向上の支援、円滑な事業承継やM&Aの支援、伴走支援を行う体制の整備等に取り組む。

これらの施策の活用によるサプライチェーン全体の付加価値の増大とその適切な分配を推進するため、「パートナーシップ構築宣言」の拡大に取り組むとともに、取引適正化を強力に推進する。あわせて、2023年10月のインボイス制度実施を見据えて標準化された電子インボイスの普及促進等を行うほか、中小企業のサイバーセキュリティ対策を支援する。

加えて、創業等の促進のため、官民金融機関・信用保証協会における経営者保証に依存しない融資を一層推進する。

さらに、地域経済を牽引する事業の発展を推進するため、内外の価格動向など事業環境の変化も踏まえ、EC活用等を通じた中堅・中小企業の輸出力の強化や製品の試作・開発の支援体制強化を図るとともに、地域企業におけるDX実現や人材育成等の地域の主体的な取組を促進する。

(債務が増大している企業や家計への対応)
感染症の影響を受けた企業に対して資金繰り等の支援に取り組んできた中、企業債務が増大していることに加え、原油等の価格高騰の影響を受けている状況への対応に万全を期す。

具体的には、地域の中核企業・中小企業・小規模事業者の実情に応じた収益力改善・事業再生・再チャレンジを図るため、返済猶予・資金繰り支援、経営改善・事業転換・再構築支援、資本基盤の強化、債務減免を含めた債務整理等に総合的に取り組む。

あわせて、感染症後に向けた事業再構築を容易にするため、債務がその足かせにならないよう、新たな事業再構築法制の整備を進める。

(参考)経済財政運営と改革の基本方針2022(仮称)(原案)

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0531/shiryo_01.pdf

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№799


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