令和4年度税制改正大綱から所得拡大促進税制が拡充

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


令和4年度税制改正大綱が発表

12月10日に令和4年度税制改正大綱が発表されました。

こちらは、与党である自由民主党と公明党の税制調査会がまとめたものですが、今の政局からすると、間違いなく法案は通過すると思われますので、まだ春の国会を通過していませんが、ほぼ確実で間違いないでしょう。

さて、新聞報道でもクローズアップされていますが、キーワードは「賃上げ」です。

今回の税制改正の大局的なテーマは「成長と分配の好循環の実現」「経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」です。

特に岸田総理は、就任当初から賃上げを声高くしておりました。
その背景として、我が国の賃金水準は、実質的に見て30年以上にわたりほぼ横ばいの状態であり、その伸び率は他の先進国に比して低迷しているからです。

今から30年前(ちょうどバブル時代)の1991年の大卒初任給は179,400円(現在価値156,945円)、2021年では209,884円だそうです。この30年でたった3万円,1年換算すると1,000円だけアップです。

一方で海外の大卒初任給ランキングでは、1位はスイスで約732,000円、2位はデンマークで約534,000円、3位はアメリカで約485,000円、日本は20位だそうです。

昔は海外旅行で日本人がブランド物を爆買いしていた時代もありましたが、今や海外でも高嶺の花となってしまいました。給与も安いが物価も安いというのが日本の問題であり、多くの海外ツーリストは品質がいいからだけで日本製を購入するのではなく、割安だから購入するのです。

そこで、何としても賃上げをしてもらい国力を上げたい日本政府が、賃上げを積極的に行った事業者に対する税額控除率を大企業で最大30%、中小企業で最大40%拡充します。

続いて、中小企業について見ていきましょう(大企業向けは省略)。

中小企業の所得拡大促進税制の拡充

中小企業における所得拡大促進税制について、税額控除率の上乗せ措置の見直しを行った上で、その適用期限が1年間延長されます(令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する事業年度)。

また、最大の税額控除額も給与等支給増加額の40%(ただし、法人税額の20%が上限)へ拡充されます。

【適用要件】
適用年度の雇用者給与等支給額‐比較雇用者給与等支給額≧1.5%

【税額控除率】
(1)控除対象雇用者給与等支給増加額×15%
(2)ただし、適用要件の率が2.5%以上で15%加算
(3)さらに適用年度の教育訓練費の額‐比較教育訓練費の額≧10%で10%加算

つまり、15%+15%+10%=40%となりますが、法人税額の20%という条件が付きますの、40%までとれる会社はそれほど多くないかもしれません。

しかし、令和3年4月1日以降開始事業年度からは、単純に給与を前年比1.5%アップすれば、所得拡大促進税制の対象となります。

地方税においても控除の対象となりますので、忘れずに適用してください。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№775


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