決算対策の第1歩とは?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


180度打つべき手が変わる

決算対策とひと口にいっても、現状黒字であるのかそれとも赤字であるのかによって、打つべき手が180度変わります。
また、来期以後の見通しによって、今期の決算対策に修正が加わることもあります。

たとえば、棚卸金額が毎月変動するのに、月次棚卸を実施していないと、利益が正しく表示されません。
100仕入れて、そのまま在庫として残っている場合、「仕入費用100 」と計上されてしまい、そこだけみると費用の分だけ赤字となってしまいます。

本来は、その在庫が来月以後の売上になるのですから、会社の資産として認識して、「仕入費用100-在庫100=利益0 」となるのが正しい経理処理です。

そのためには、月次棚卸を実施して在庫計上の仕訳が必要となります。
仕訳は、「借方:期首棚卸高××円/貸方:在庫××円」、「借方:在庫××円/貸方:期末棚卸高××円」です。

このように決算対策においてまず大事なことは、現状の会社業績が、試算表を通じて正しく表わされているかどうかです。

つまり、正確な月次試算表を作成することが、決算対策の第一歩となります。

そこで、正確な月次試算表を作成するために必要な5つのポイントについてお話します。

入金時ではなく発生時に計上

1つ目のポイントは、「発生主義会計」です。

売上で考えると、入金した時ではなく発生した時点で売上として認識するのが発生主義会計です。

決算においては発生主義会計が採用されているので、月次試算表においても発生主義会計で経理処理してください。
特に、取扱商品等に季節変動のある会社や、売上が急上昇又は急降下している会社では、発生主義会計で経理処理しておかないと、現状で儲かっているのかどうかさえわからないということになりかねません。

2つ目のポイントは、前述した「月次棚卸の実施」です。

棚卸額がほぼ毎月一定という会社では手間を考えて実施しなくてもかまいませんが、毎月変動のある会社では必ず実施しましょう。

月次で棚卸を実施する意味は、月次での本当の儲けを概算で把握するためです。
従って、商品点数の多い会社などでは、動きの激しい商品や金額の大きい商品のみ棚卸を実施して、その他は概算金額で計上するというようなやり方でもOKです。

減価償却費、年払経費の月次計上

10万円以上又は30万円以上の資産を購入すると、経理処理としては、いったん資産に計上して、その後減価償却を通じて費用化することになります。

製造業や設備投資が多い一部の飲食店などでは、多額の減価償却費が発生することがあります。

そこで、年間概算減価償却費を12月で割って、毎月の月次決算で「借方:減価償却費××円/貸方:減価償却累計額××円」と仕訳してください。

これが3つ目のポイントである「減価償却費の月次計上」です。

今期どれだけの減価償却費が発生するのかは、税理士事務所などにたずねるとわかります。

また、同様に、生命保険料や家賃、会費などで年払いをしている経費についても、毎月「借方:保険料××円/貸方:未払費用××円」などと仕訳して、毎月の試算表が正しい利益となるように調整してください。

これが4つ目のポイント「年払経費の月次計上」です。

消費税は税抜経理が基本

正確な月次試算表作成のために必要な5つ目のポイントは、消費税を「税抜経理」で処理することです。

「税込経理」であると、利益も税込となりますから、正しい利益を表示しているとはいえません。

通常、少し過大な利益表示になってしまいます。

その点、税抜経理では、消費税を預ろうが払おうがすべて別勘定としますので、試算表に出てくる売上や利益がそのままその会社の実態を表していることになります。

いまだに税込経理をしている会社では、ぜひ税抜経理への変更を検討してください。 

「毎月の試算表を12ケ月合計すると決算書となる」ように、日々経理処理することが重要です。

そのためにも、以上5つのポイント忘れないでください。

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この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№781


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