平成29年度税制改正大綱、非上場株式の評価見直し

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


与党が平成29年度税制改正大綱を発表

平成28年12月8日に、例年通り来年度の税制改正大綱が発表された。その中から、今回は「取引相場のない株式の評価の見直し」を取り上げる。

取引相場のない株式、いわゆる非上場株式については、財産評価基本通達において評価方法が定められている。原則的な評価方式は、評価する株式を発行した会社を総資産価額、従業員数及び取引金額により、大会社、中会社又は小会社のいずれかに区分して、原則として次のような方法で評価をすることになっている。

(1)大会社
原則として、類似業種比準方式
※類似業種比準方式は、類似業種の株価を基に、評価する会社の一株当たりの「配当金額」、「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」の3つで比準して評価する方法

(2)小会社
原則として、純資産価額方式
※純資産価額方式は、会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替えて、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法

(3)中会社
大会社と小会社の評価方法を併用して評価

類似業種比準価額方式を見直し、平成29年1月1日以後の相続等より適用予定

平成29年度税制改正大綱においては、次のような見直しが盛り込まれている。

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①取引相場のない株式の評価の見直し

イ 類似業種比準方式について、次の見直しを行う。

(イ)類似業種の上場会社の株価について、現行に課税時期の属する月以前2年間平均を加える。
(ロ)類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額について、連結決算を反映させたものとする。
(ハ)配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、1:1:1とする。
(筆者注:現在の比重は1:3:1)

ロ 評価方式の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲を総じて拡大する。
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上記改正の方向性は、大きく以下の3点にまとめられる。

  • ・類似業種の上場会社株価が、取引相場のない株式の株価に与える影響を減らす。
  • ・自社の利益金額が株価に与える影響を減らす。
  • ・類似業種比準方式の適正化を行い、その適用対象法人を拡大する。


アベノミクスによる上場企業の株価の上昇に伴い、業績に大きな変化のない中小企業であっても、想定外に株価が高く評価されることにより、円滑な事業承継に影響を来す可能性が生じているため、中小企業の実力を適切に反映した評価となるよう見直しを行う。合わせて、自社の利益の増減が過度に株価に影響を与える現状の計算方法を見直し、できるだけ多くの中小企業にその改正の影響を行き渡らせよう、というのが今回の改正の趣旨である。

実務的には、利益水準の高い中小企業ほど、株価が下がる可能性があるため、今後、株価の再計算を行う必要があるだろう。

(注)なお、今回の内容は、国会を通過するまでは正式な決定事項ではない。

参考:「平成29年度税制改正大綱」

https://www.jimin.jp/news/policy/133810.html

税務ニュース№451


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