住民税の課税誤り続出!~住民税の課税方式選択制度~

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


昨年末より、上場株式等の配当所得に係る個人住民税の課税誤りを公表する自治体が続出していることを受け、総務省は2019年1月24日付で上場株式等の配当所得等に係る個人住民税に関する質疑応答を取りまとめ、全国の自治体に注意喚起を促した。

課税方式選択制度

2005年より、上場株式等の配当所得については、「申告不要」「申告分離課税」「総合課税」の3つの課税方式から任意に選択することができ、平成29年(2017年)度税制改正にてその手続きが明確化された。上場株式等の配当所得につき、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することで、納税者がより有利となる場合がある。

ただし、上記の課税方式を選択できるのは住民税の納税通知書の送達時までに所得税の確定申告や住民税の申告を行う必要がある。

14年間の住民税課税ミスが発覚

年末にかけて、住民税の課税誤りが発覚したと公表する自治体が続々と現れている。

2005年より上場株式等の配当所得については所得税と異なる課税方式を選択できることとなって以来、長年誤った解釈により住民税の税額計算を行っていたことが判明した。

本来であれば、納税通知書の送達後に住民税や所得税の確定申告書が提出された場合は、その申告書内容にかかわらず、課税方式を選択できず、上場株式等に係る配当所得等を個人住民税に算入せず、住民税を算定することとなっている。

しかしながら、上記の自治体はその解釈を誤っており、送達後に確定申告書が提出された場合でも、その申告書の内容に従い税額を計算してしまっていた。このミスは平成17年(2005年)度から平成30年(2018年)度までの14年間続いていたようだ。

心当たりがある方は確認を

課税誤りの可能性がある対象者は、2005年から2018年の間で住民税の納税通知書の送達後に、上場株式等の配当所得に関する確定申告書を提出した方である。
過去に遡って住民税を決定しなおす場合、税額の増額は過去3年分、減額は過去5年分までとなっている。
この課税ミスにより税額が変わるだけでなく、住民税の所得等を基に計算されている国民健康保険料や介護保険料にも影響が出る恐れがある。

課税ミスの対象者には通知を出している自治体もあるようだが、心当たりのある方は一度、自治体へ問い合わせするのが良いだろう。

うまく利用すれば納税者にとって有利となる住民税の課税選択制度だが、この制度の利用を考えている方は、くれぐれも納税通知書送達後に申告書を提出することのないよう注意いただきたい。

税務ニュース№528


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