税金と●●の乖離(カイリ)
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
もくじ
税金と会計の乖離
10年ほど法人税を教える講義を続けているのですが、よく生徒さんから、「会計は常識で理解出来るけど、税金は知識が無いと未知の世界ですね」というようなことを言われます。
「売上」から「原価や経費」を差し引いて「利益」です、というのは特に簿記を習わなくてもわかるでしょう。
しかし、「役員賞与は税務上経費になりません」というのは、税金の趣旨を理解していないと、「何でやねん!」と突っ込みたくなるかもしれません(笑)
会計では、「株主や銀行などに適正な財政状態や経営成績を表示する」というのがその趣旨です。
一方税金の趣旨は、「課税の公平や脱税防止」です。
会社が儲かってきたからと言って、一方的に身内役員等に賞与を払って法人税を免れるのは如何なものかという観点から、「役員賞与の損金不算入」という概念があります。
夫婦共有財産という考え方
先ほどは法人税の話でしたが、今度は相続税における遺産分割の話です。
夫が働いて妻が専業主婦というケースで、生活費余剰金が民法上、誰に帰属するのかという論点があります。
民法では、夫婦別産制であるため、名義に関わらず夫の得た収入により形成された財産は、原則、夫に帰属すると考えます。
しかし、学説を中心として、夫婦共同生活の基金を夫婦共有財産であるとする見解もあります。
どちらかというと、後者の方が今の時代に合っている気もしますね。
税金と民法との乖離
では、税金の世界ではどうでしょうか?
相続税の税務調査の現場では、妻のへそくり的なものについては、基本的に「夫の財産として相続税を払ってください」という指摘を受けます(当然ながら、妻が働いていた期間があったり、妻の親の相続などがあった場合などは妻の財産として一定程度認められます)。
過去に夫から妻への贈与があった等と認められるケースも少なく、専業主婦の場合においては特に、「夫の財産として相続税の追徴課税を受ける」ことが多いです。
長らく夫婦生活を行い、家や家族のこと、具体的な節約などを行っているのだから、たとえその原資が夫の給与収入だったとしても、「それらは夫婦共有財産である」と考える方が、一般的な常識に近いと思います。
しかし、ここでも税金の趣旨が立ちはだかります。
もし、上記のことを無制限に認め実態と乖離すれば、相続税を払う人が激減するかもしれません。
これも、「課税の公平や脱税防止」という税金の趣旨からは、致し方ない側面もあるのかもしれません。
この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
メール通信№908
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